《ファッションテックマップ》ファッションビジネスの様々なシーンをアップデート
ファッションとテクノロジーを掛け合わせた領域〝ファッションテック〟の動きが目まぐるしい。スタートトゥデイのコーディネートアプリ「ウェア」経由のEC売り上げが月間10億円を突破し、「メルカリ」「フリル」といったフリマアプリが若者を中心とした消費者に普及、今秋にはファッションとデジタルに特化した専門メディアも立ち上がった。
AI(人工知能)のECへの搭載やバーチャル試着を可能にするデジタルミラー、グーグルによるウエアラブル端末の実験など、枚挙にいとまなく、ファッションビジネスの様々なシーンをアップデートする可能性を秘めている。この領域を俯瞰(ふかん)し、「ファッションテックマップ」を作成・公開しているスタイラーの小関翼社長に、全体像と世界と比べた際の日本の状況を解説してもらった。
ファッションテックとは文字通りファッションとテクノロジーを掛けあわせた造語です。テクノロジーを活用してファッション業界を活性化させることを目指した商品、サービスを生み出そうとする動きを指します。業界活性化を目的とし、対象は広範にわたっています。
ユーザーとの接点であるショップ内でのコミュニケーションや、ECでの売り上げを拡大するツールに始まり、アパレル生産や流通の効率化をテクノロジーによって前進させる商品やサービスもファッションテックに含まれます。海外では近年、ファッションテックを促進するために、Decoded Fashionや、New York Fashion Tech Lab、FashTechというイベントの事業者が出てきています。Decoded Fashionはコンデナスト・ジャパン主催で東京でも15年に開催されました。
日本における企業活動や市場形成は、
日本のファッションテックは、IT(情報技術)関連全般に見られる傾向と同様、アメリカで生まれたサービスが1、2年遅れで日本市場で応用・展開されるケースが多いです。この分野でもアメリカはやはり進んでいます。アメリカの素晴らしい点は、事業者たちの存在はもとより、Decoded Fashionに代表されるような、周囲で盛り上げる人・団体・活動が盛んなことです。日本はそういった活動が不充分です。事業者は存在しますが、動きが散発的で、横の連携は一部にとどまり、面としての広がりに至っていません。
今、世界中でファッションテックの動きがあり、どこの国・都市がファッションテック分野の世界的ハブになるか注目されています。ロンドンがフィンテックのハブの地位を確立したように、ファッションテックハブはどこか、とそんな状況です。そんな中で、今年Decoded Fashionが東京で開かれ、創始者のリズ・バセラー氏が開催理由について触れていました。
「東京で開いた理由は、コンデナスト・ジャパンに呼ばれたから」だけだったのです。中国に呼ばれていたら中国で開催していた、いうことなのでしょう。このことから、日本がこの分野で中国やその他の国・都市のステージと何ら変わりがないこと、そしてアメリカ主導のフォーマットに乗っかっている段階で、日本主体で盛り上げる存在に欠いている、ということです。
一方、その出遅れた状況から日本はファッションテックのハブを狙えないかというとそうでもない。日本は一つの国内で、生産から消費まで層の厚いファッションビジネスが存在し、他国と比べファッションテックを育む土壌として有利です。下の図は経済産業省が14年に発表した、各地域のファッション産業の価格別ピラミッドです。
![経済産業省「日本ファッション産業の海外展開戦略に関する調査」2014から]()
下からファストファッション、ミドル、ラグジュアリーになっています。日本は若い世代も含め、ミドル価格帯のブランドを多く楽しんでいるのが特徴です。このセグメントは情報リテラシーが高く、購買意欲も旺盛な消費者によって支えられています。ファッションテック企業が横のつながりを持ち、世界的に存在感や地位を高めていけば、ハブ都市として認知される可能性は充分にあります。
ファッションとテクノロジーを掛け合わせた領域〝ファッションテック〟の動きが目まぐるしい。スタートトゥデイのコーディネートアプリ「ウェア」経由のEC売り上げが月間10億円を突破し、「メルカリ」「フリル」といったフリマアプリが若者を中心とした消費者に普及、今秋にはファッションとデジタルに特化した専門メディアも立ち上がった。
AI(人工知能)のECへの搭載やバーチャル試着を可能にするデジタルミラー、グーグルによるウエアラブル端末の実験など、枚挙にいとまなく、ファッションビジネスの様々なシーンをアップデートする可能性を秘めている。この領域を俯瞰(ふかん)し、「ファッションテックマップ」を作成・公開しているスタイラーの小関翼社長に、全体像と世界と比べた際の日本の状況を解説してもらった。
「ファッションテック」とは何か?
ファッションテックとは文字通りファッションとテクノロジーを掛けあわせた造語です。テクノロジーを活用してファッション業界を活性化させることを目指した商品、サービスを生み出そうとする動きを指します。業界活性化を目的とし、対象は広範にわたっています。
ユーザーとの接点であるショップ内でのコミュニケーションや、ECでの売り上げを拡大するツールに始まり、アパレル生産や流通の効率化をテクノロジーによって前進させる商品やサービスもファッションテックに含まれます。海外では近年、ファッションテックを促進するために、Decoded Fashionや、New York Fashion Tech Lab、FashTechというイベントの事業者が出てきています。Decoded Fashionはコンデナスト・ジャパン主催で東京でも15年に開催されました。
日本における企業活動や市場形成は、
世界と比べてどんなステージにあるのか?
日本のファッションテックは、IT(情報技術)関連全般に見られる傾向と同様、アメリカで生まれたサービスが1、2年遅れで日本市場で応用・展開されるケースが多いです。この分野でもアメリカはやはり進んでいます。アメリカの素晴らしい点は、事業者たちの存在はもとより、Decoded Fashionに代表されるような、周囲で盛り上げる人・団体・活動が盛んなことです。日本はそういった活動が不充分です。事業者は存在しますが、動きが散発的で、横の連携は一部にとどまり、面としての広がりに至っていません。
今、世界中でファッションテックの動きがあり、どこの国・都市がファッションテック分野の世界的ハブになるか注目されています。ロンドンがフィンテックのハブの地位を確立したように、ファッションテックハブはどこか、とそんな状況です。そんな中で、今年Decoded Fashionが東京で開かれ、創始者のリズ・バセラー氏が開催理由について触れていました。
「東京で開いた理由は、コンデナスト・ジャパンに呼ばれたから」だけだったのです。中国に呼ばれていたら中国で開催していた、いうことなのでしょう。このことから、日本がこの分野で中国やその他の国・都市のステージと何ら変わりがないこと、そしてアメリカ主導のフォーマットに乗っかっている段階で、日本主体で盛り上げる存在に欠いている、ということです。
一方、その出遅れた状況から日本はファッションテックのハブを狙えないかというとそうでもない。日本は一つの国内で、生産から消費まで層の厚いファッションビジネスが存在し、他国と比べファッションテックを育む土壌として有利です。下の図は経済産業省が14年に発表した、各地域のファッション産業の価格別ピラミッドです。

下からファストファッション、ミドル、ラグジュアリーになっています。日本は若い世代も含め、ミドル価格帯のブランドを多く楽しんでいるのが特徴です。このセグメントは情報リテラシーが高く、購買意欲も旺盛な消費者によって支えられています。ファッションテック企業が横のつながりを持ち、世界的に存在感や地位を高めていけば、ハブ都市として認知される可能性は充分にあります。